税理士事務所を顧問として迎え入れる場合、何を基準として選んだらよいのか大変迷うところです。複数さまざまな選択基準がありますが、ここでは最もポピュラーな3つに絞って言及いたします。
「税理士事務所」を替えることで「会社」は大きく変わります
毎月支払う顧問料が、あなたの会社の費用の削減・情報会計・節税対策効果を創出します

税理士事務所選びのポイント
1.大規模事務所かそれとも中・小規模事務所か?
大きな事務所がいいのか小さな事務所がいいのか一概にはいえません。
御社の状況にあわせて選んで下さい。
(1)大規模事務所の長所と短所
@スタッフがたくさんいるので、御社のさまざまな業務依頼にすばやく対応してくれる。
A国際税務、連結納税、M&A、企業再編税制等、最新最先端の情報を提供してくれる。
B一般的にトップの税理士と会えるのは、最初だけで、後は若いスタッフが担当
する場合が多い。懸案事項について相談しても、事務所に戻って「上司に相談
してきます」ではストレスがたまる場合があります。
(2)中・小規模事務所の長所と短所
@事務所のスタッフではなく、税理士本人が御社に対して直接関与する場合が多く
サービスレベルが高くなる傾向がある。
A税理士は自分自身が経営者なので、小さな相談ごとにも親身になって気軽に
会社の相談に応じてくれます。比較的、敷居が高くありません。
B緊急な相談等の場合、スタッフが少ないため迅速に行動ができない場合がある。
2.税理士事務所報酬は安ければ安いほどいいものなのか?
税理士事務所へのサービス料金には基準がありません。
事務所によってまちまちで、高いほうが良いサービスで、安いほうが低いサービス
とは一概には言えません。が一般論として申し上げれば、報酬が安い事務所は、
どうしてもその会社に対してかけられる手間や時間が少なくなります。
人件費の比率が高い業界ですので、やむを得ないことと思います。
税理士事務所の報酬は安いにこしたことはないのですが、
サービス内容を事前にヒヤリングし、報酬とのバランスで御検討ください。
極端に安い事務所は、パスしたほうがよいと思われます。事務処理等だけに留まると思われます。
コンサルティングまでは発展しません。客観的な適正料金を意識してください。
なお、設立年度等会社設立時は、会社に資金余力がないため、
一定期間特別に安い報酬でサービスを提供している事務所もあります。
税理士事務所報酬の比較は、毎月の報酬額ではなく年額の報酬総額で検討すると良いでしょう。
3.地元の税理士事務所かそれともそれ以外の事務所か?
逆に地元だといつでも会うことができる安心感からそちらを選ぶ方もいらっしゃいます。
しかし、インターネット・携帯電話等文明の力を使っていけば地理的に遠い近いは、もはや
関係のない時代になったと思われます。やはり相性が一番です。
ただし、当初関与して会社のしくみ等信頼関係が構築される数ヶ月間はフェイスtoフェイス
で頻繁にコミュニケーションを採っていくことはいうまでもありません。
4.税理士事務所の不満ランキング
税理士の業界紙でのアンケート調査で税理士を替えた理由をいくつか挙げますと
(1)説明が簡単ですむことも、むずかしく話し、威厳を保ちたがる。
(2)いつも態度が偉そうにしていて、気軽に質問等ができない雰囲気がある。
(3)依頼をしても対応が遅く時間がかかる。スピード感がない。
(4)会社のIT化を積極的に提案してくれない。
(5)年額の報酬が仕事と比較して高い。
(6)会社の方から質問しないと、新しい情報の提供がない。
(7)税務調査時に、税務署サイドの意見に同調する傾向がある。意見を戦わせない。
(8)決算対策と節税の有効なアドバイスがなく、さらに申告期限ギリギリまで税額がわからない。
(9)売上の増加及び固定費の削減等複数の視点での経営指導がない。
(10)定期的な訪問がない。
5.全国の税理士の人数と税理士資格を取得した方法・税理士試験受験者と合格者の推移
1. 2021年3月31日現在資格別税理士登録者数(2021年5月・日税連発行税理士界より)
資 格 別 |
人 数 |
% |
国家試験合格者 | 35,064 | 44.16 |
試験免除者 | 30,471 | 38.37 |
税務署等出身特別試験合格者 | 2,719 | 3.42 |
公認会計士 | 10,446 | 13.16 |
弁護士 | 698 | 0.88 |
税務代理士 | 5 | 0.01 |
資格認定者 | 1 | 0.00 |
合 計 |
79,404 | 100.00 |
試験免除者は、下記の4つから構成されるれ
@大学院で法学等なら税法科目、商学等ならば会計科目について、
博士課程又は修士課程を修了した者は、会計科目又は税法科目の
一部免除又は全部免除される。
(濫用が問題となり、2002年(平成14年)4月の税理士法改正により一部制限が加えられた)
A税務署等に10年以上勤務し一定の要件を満たした者は税法科目を免除
B税務署等に23年以上勤務し一定の要件を満たした者は税法・会計科目全て免除
C試験合格者は5科目を合格してなるが、ごくごくわずか6科目以上合格する者がいる。
その場合、なぜか試験合格者ではなく、試験免除者の区分に含まれる
税務署等出身特別税理士試験
1956年(昭和31年)法改正で、計理士及び税務職員で一定の年数の実務経験を有する者に対し
5年間に限って行なわれた「特別な税理士試験」のこと。1961年(昭和36年)の税理士法改正にて
特別試験の存続期間は“当分の間”に延長され、1980年(昭和55年)の税理士法改正にて
経過措置を設けた上で廃止となった
公認会計士で税理士の登録している者
2021年(令和03年)3月末現在の公認会計士の登録者 32,478 左記の内税理士登録者10,446
http://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/about/outline/
注1 公認会計士・弁護士は、税理士会に会費を毎年支払い登録することにより、
自動的に税理士資格が付与される
注2 公認会計士については、2017年(平成29年)4月以降、国税審議会が指定する
税法に関する研修及び考査(試験)で、一定の点数以上を取得した場合に
「税理士登録ができる」と2014年(平成26年)3月の改正税理士法において新設された
78,795(2020年3月末)−1,881(抹消)+2,490(新規)=79,404人(2021年3月末)
2. 2020年(令和2年)4月1日〜2021年(令和3年)3月31日資格別新規税理士登録者数
資 格 別 |
人 数 |
% |
国家試験合格者 | 627 | 25.18 |
試験免除者 | 1,329 | 53.37 |
特別試験合格者 | 0 | 0.00 |
公認会計士 | 485 | 19.48 |
弁護士 | 49 | 1.97 |
合 計 |
2,490 |
100.00 |
3.都道府県別税理士登録者数の推移(左から2021年3月末・20年3月末・19年3月末現在での登録者)
北海道 | 1,869 1,848 1,856 | 山梨 | 308 304 305 | 岡山 | 760 760 754 |
青森 | 271 276 276 | 富山 | 466 462 469 | 広島 | 1,593 1,567 1,554 |
岩手 | 273 268 260 | 石川 | 610 605 606 | 山口 | 470 461 459 |
宮城 | 914 923 920 | 福井 | 346 341 352 | 徳島 | 289 286 281 |
秋田 | 237 239 235 | 岐阜 | 1,111 1,108 1,106 | 香川 | 532 541 540 |
山形 | 284 284 275 | 静岡 | 1,809 1,792 1,794 | 愛媛 | 582 585 578 |
福島 | 497 503 504 | 愛知 | 5,385 5,369 5,335 | 高知 | 229 222 218 |
茨城 | 867 852 840 | 三重 | 780 776 782 | 福岡 | 2,842 2,777 2,628 |
栃木 | 771 766 753 | 滋賀 | 522 520 502 | 佐賀 | 243 237 238 |
群馬 | 848 846 836 | 京都 | 1,941 1,937 1,901 | 長崎 | 313 313 314 |
埼玉 | 3280 3,232 3,228 | 大阪 | 8,830 8,755 8,687 | 熊本 | 900 898 872 |
新潟 | 812 811 801 | 兵庫 | 2,882 2,861 2,841 | 大分 | 456 445 443 |
長野 | 902 908 916 | 奈良 | 547 546 554 | 宮崎 | 323 320 304 |
千葉 | 2,538 2,524 2,513 | 和歌山 | 367 355 350 | 鹿児島 | 541 534 530 |
東京 | 23,597 23,388 23,023 | 鳥取 | 171 168 163 | 沖縄 | 442 439 425 |
神奈川 | 4,661 4,651 4,609 | 島根 | 193 192 195 | 合 計 | 79,404 78,795 78,028 |
4.新規登録者・抹消者の歴史的変遷
年度 | 新 規 登 録 者 | 抹 消 者 | 3月末現在の全国の税理士の数 |
2021(令和03年) |
2,490 | 1,881 | 79,404 |
2020(令和02年) | 2,693 | 1,926 | 78,795 |
2019(平成31年) | 2,648 | 1,947 | 78,028 |
2018(平成30年) | 2,727 | 1,893 | 77,327 |
2017(平成29年) | 2,885 | 2,035 | 76,493 |
2016(平成28年) | 2,767 | 2,270 | 75,643 |
2015(平成27年) | 2,750 | 2,105 | 75,146 |
2014(平成26年) | 2,906 | 2,130 | 74,501 |
2013(平成25年) | 3,012 | 1,922 | 73,725 |
2012(平成24年) | 2,716 | 2,120 | 72,635 |
2011(平成23年) | 2,398 | 1,965 | 72,039 |
2010(平成22年) | 2,642 | 2,213 | 71,606 |
2009(平成21年) | 2,611 | 2,098 | 71,777 |
2008(平成20年) | 2,681 | 2,085 | 70,664 |
2007(平成19年) | 2,695 | 1,870 | 70,068 |
2006(平成18年) | 2,561 | 1,960 | 69,243 |
2005(平成17年) | 3,015 | 1,743 | 68,642 |
2004(平成16年) | 2,533 | 1,837 | 67,370 |
2003(平成15年) | 2,385 | 1,694 | 66,674 |
2002(平成14年) | 2,340 | 1,513 | 65,973 |
2001(平成13年) | 2,170 | 1,482 | 65,144 |
2000(平成12年) | 2,008 | 1,426 | 64,456 |
1999(平成11年) | 1,860 | 1,432 | 63,874 |
1998(平成10年) | 63,446 | ||
1997(平成05年) | 59,843 | ||
1990(平成02年) | 55,340 | ||
1982(昭和57年) | 40,862 |
5.税理士試験・受験者と合格者の推移
注1 一人で複数科目を受験してる人がいるため、受験者と全科目の受験者数の総数とは異なる
注2 なお、税理士試験受験者数といった場合、一般的に全科目の受験者数の総数を指す
年 |
受験者 | 全 科 目 の 受 験 者 数 の 総 数 | 最 終 合 格 者 数 |
2021 | 27,299 | 37,673 | 585 |
2020 | 26,673 | 36,845 | 648 |
2019 |
29,779 |
41,158 |
749 |
2018 |
30,850 |
42,063 |
672 |
2017 |
32,974 |
45,462 |
795 |
2016 | 35,589 |
49,245 |
756 |
2015 | 38,175 | 53,663 | 835 |
2014 | 41,031 | 58,465 | 910 |
2013 | 45,337 | 65,518 | 905 |
2012 | 48,123 | 70,805 | 1,104 |
2011 | 49,510 | 72,901 | 1,094 |
2010 | 51,468 | 75,785 | 999 |
2009 | 51,479 | 74,547 | 1,058 |
2008 | 51,863 | 76,125 | 964 |
2007 | 53,324 | 78,620 | 1,014 |
2006 | 54,203 | 80,662 | 1,126 |
2005 | 56,314 | 84,379 | 1,055 |
2004 | 56,126 | 82,649 | 1,090 |
2003 |
55,175 |
81,170 |
1,193 |
2002 |
52,560 |
76,709 |
1,074 |